経営119番
必読特集!
知恵のあるなしで「倒産」はこれだけ違う

2.高利貸しに手を出すと・・・


 経営が思わしくないと思った時、まずその会社がどの程度の状態に陥っているのか、診断する必要があります。会社を経営している人は、会社を経て直したいと思い、またできると思いますから、ギリギリまで粘ります。つまり、もう手術もできないほど病巣が広がっていても、ある種の興奮状態の中で金策に走ります。

 手形の決済に追われ、借金をし尽くし、ついには街金にまで手を出しても、まだ「何とかなる、何とかしなくては」と思うものです。

 ところが街金融に手を出すと、手形の決済もさることながら、今度は街金の利息の返済に追われるようになります。病気で例えるならば、患部の痛みを取り除くために麻薬を使用しますが、それも回を重ねるごとに効かなくなり、無制限に量を増やしていかなくてはならなくなる姿に似ています。

 ある街金の業者はこんなことを言っています。
「金利や返済方法を相談していると、やはりためらう中小企業の社長がいる。そんな時はね、私達はドーンと目の前に100万円、200万円と現金を積んじゃうのよ。すると目つきが変わって、必ず持って行くね。ああ、これがあったら会社は助かる − と思うんだね。」

 こういう金融会社の金利は非常に高いため、その金利を払うのにまた別の街金に走ってお金を借りることになります。ところが別なところといってもそう簡単には貸してくれません。そこで親切にも「絶対に貸してくれる」という街金を紹介してくれるわけです。業界用語ではこれを「回し」といいます。

 街金はピラミッド方式になっていて、上部の大きな所は比較的金利が安く、下にいくほど金利が高くなります。上部で借りたお金の返済が滞ると下部の業者を紹介し、そこの金利が滞るとさらに下部へ回されます。そして、下部に行くほどだんだん金利が高くなり、業者も柄が悪くなり怖いのです。気がつくと元金より多くの利息を支払っています。利用し尽くされた後は、グループから追い出し(もちろん借金は残っています)、他の金融機関か街金に連れていって借金をさせます。それをさらに回収するわけです。

 まるでトランプのババ抜きで、ババは誰か別な金融機関に引かせるという発想です。最初は50万、100万というお金が、気づいた時には数百万円、あるいは千万単位になっています。

 賢い倒産のためには、絶対に”街金”に手を出さないことです。

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1.「賢い倒産」の意味 2.高利貸しに手を出すと・・・
3.誰に相談するのがいいのか 4.倒産もタダではできない
5.法的整理と任意整理の得失 6.銀行との駆け引きで生き残れ
7.銀行との交渉は背水の陣で 8.おわりに