経営119番
必読特集!
知恵のあるなしで「倒産」はこれだけ違う

5.法的整理と任意整理の得失


 倒産には「法的整理」と「任意整理」があるのは先に述べた通りです。法的整理にはメリットとデメリットの二つの側面があります。法的整理ですから不正が入り込む余地がないこと、原則として債権者に公平である(場合によりますが)というメリットもあります。

 しかしデメリットとしては、

@手続きが硬直的である
A時間がかかる
 − 早いと言われる和議でも10ヶ月から1年。会社更正手続きでは10年かかる場合もある。
B予納金が必要である
C多数決原理であり、同意を得るのが難しい
D審査が厳格
Eすべての債権者に文書が配布されるなど信用不安が起きる

などがあげられます。

 こうしたデメリットがあるために実際の倒産、とくに中小企業の倒産は圧倒的に任意整理が多いのです。とくに任意で会社更生法の処理に似た処置が取れれば、会社の再建を目指す人には最も都合が良いでしょう。

 ところで、会社更正が行われるのは、会社としては赤字であるが、ある支店とかある部門では黒字であるといった場合、この黒字の支店、あるいは部門を残し、他の支店や部門を切り捨てて再出発をするというような場合が考えられます。

 中小企業でも、こうした場合は臨機応変に考えて、決して諦めたり投げやりになったりしないことです。利益部門を切り離して売却することもできますし、まだ会社にはさまざまな可能性があるかもしれません。

 では任意整理の得失はどんなところにあるのかを考えてみましょう。

 メリットとしては、手続きの簡易性、迅速性、費用の廉価、信用不安の回避などがあげられます。また債権者の側にしても、長い時間をかけて破産手続きを行い、挙げ句にわずかな配当しかもらえないというのでは、何ももらえないのと同じだということもあります。理にかなった方法で債権の5分の1でもいいから今すぐ回収できた方がメリットがあると考える場合も多いにありえるのです。

 また銀行も、担保に取っている土地を強制執行して競売にかけるにしても、任意の売却ならいざ知らず、競売の場合は価格が下がりますし、競売物件の一部が奥さん名義になっていたりすると話は面倒になります。さらに借地権などがつくと借地権が解除されるのに月日がかかります。この間弁護士に何度も書類を作らせますから、その費用もバカにはなりません。結局早期に任意の整理に応じて手を打つか、再建に協力して利息をもらった方が賢明であるという判断がなされることもあります。

 これは交渉事ですから、担保物件の任意売却には絶対に応じないとか、相手を説得するだけの再建計画を提示するとか、かなり高度な説得力が必要です。しかし任意の整理によって、「利口な倒産」を勝ち得た人はたくさんいます。

 一方デメリットとしては、言うまでもなく法的な強制権は何もありませんから、強行な債権者に対して法的対抗手段がありません。また事件屋、高利貸しの介在余地を許すなど事態がさらに悪化する場合もあります。これは信頼のおける相談相手を持たない人の場合によくあることです。

 また事件屋や高利貸しに介入され食い物にされるという人は、おおむね人がよく、人を信用しやすいという欠点があるのですが、より本質的な欠点は「欲張り」だという点です。

 高利貸しがうまい話を持ってきます。たいていの人は受け付けません。ところがその話に乗ってしまう人がいます。それは人がいいから乗るのではなく、自分が欲張りだからそんな話に乗るのです。そうそううまい話はこの世にはありません。

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1.「賢い倒産」の意味 2.高利貸しに手を出すと・・・
3.誰に相談するのがいいのか 4.倒産もタダではできない
5.法的整理と任意整理の得失 6.銀行との駆け引きで生き残れ
7.銀行との交渉は背水の陣で 8.おわりに