経営119番
必読特集!
知恵のあるなしで「倒産」はこれだけ違う

3.誰に相談するのがいいのか


 倒産しか方法がないという時点で、誰に相談するかは重要な問題です。まず思い浮かぶのは弁護士ですが、彼らは多忙ですし、すべての人がこういう問題に詳しいとは限りません。また、法律の専門家ですから任意の整理は得意ではないという人もいるでしょう。

 会社の倒産あるいは再建というのは、任意整理を選んだ場合には、お金を貸した人と借りた人のさまざまな利害や関係、心情をも勘案して解決していきます。また弱い立場である債務者の側に立って物事を考えるということも必要になってくるでしょう。こうした態度を弁護士が持てるかどうかがポイントになってきます。

 倒産でも法的整理を選んだ場合は、大企業には有利ですが、中小企業の場合はメリットはほとんどありません。ですからいくら法律に詳しくても、依頼人である債務者の側に立って法律が利用されなければ、かえって利害の対立する債務者のために働いているなどという事態になりかねないのです。

 倒産は生涯に一度あるか二度あるかといった非常に苦しい土壇場ですから、親身になって考えてくれる人に出会えるか否かはその人の運であるともいえるでしょう。

 「弁護士さんだから間違いない」と安心したいでしょうが、倒産は法律関係だけの交通整理でできるものではありません。前述しましたが、倒産には「法的整理」と、関係者が話し合って行う「任意整理」の二つがあります。そして圧倒的に「任意整理」が多いのが現実です。迅速・簡便であるというだけではなく、倒産はやはり法律だけではカバーできない人間的な要素が大きいからでしょう。こういった時には、多くの事例に対応してきた経営のプロ、専門家のアドバイスが役に立つことは言うまでもありません。

 家も屋敷も担保に取られ、莫大な負債を抱えた中小企業の社長に、法律的手順の解説とその代行だけというのでは、実は惨いのです。救済には役立ちません。熟練した弁護士ならば頼りになりますが、そうした弁護士に出会うのは難しいものです。

 一方、従来の「経営コンサルタント」と言われている人たちは、情報収集や人材教育などは得意でも、倒産という修羅場の解決には二の足を踏む人が多いようです。仕事の性格上苦労が多いこと、報酬面で不安が残るなどの他に、経験に乏しいということもあるようです。結局、いざ倒産の危機という状況の中では、蜘蛛の子を散らすようにいなくなっているものです。

 危機的状況の会社は現在たくさんあります。そしてその経営者たちは、金融機関から見放され、弁護士や従来の経営コンサルタントからも見放され、非常に孤独な闘いを強いられているのです。

 残念なことですが、こうした状況の中では人間はそんなに強くはありません。朝から晩まで、債権者に金、金と追いまくられ、視野が非常に狭くなってしまいます。「心底疲れた」と思うこともあるでしょう。「まさか自分が街金に手を出すようになるとは・・・」と思っていても、今日明日生き延びるために、街の高利貸しに手を出したりするのです。

 しかし最近少しづつですが、経営コンサルタントの人の中にも、倒産や破産の相談に乗る人が増えてきました。また弁護士でもこうした問題に取り組む人も増えてきました。私は弁護士と経営コンサルタントが手を組み、経営の危機に直面する人たちの相談に乗るべきだと考えています。

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1.「賢い倒産」の意味 2.高利貸しに手を出すと・・・
3.誰に相談するのがいいのか 4.倒産もタダではできない
5.法的整理と任意整理の得失 6.銀行との駆け引きで生き残れ
7.銀行との交渉は背水の陣で 8.おわりに