東神田経営事務所 Presents [ 緊急資金繰り対策と不良債権回収 ]

4.相手の会社が倒産したら債権はどうなるか

 新聞の経済欄には銀行の不良債権に関する記事が出てこない日はないとも言えるような今日です。今債権が問題になっているのは銀行だけか、というと決してそんなことはありません。むしろ中小企業の方が深刻な事態を迎えているのです。1997年度の前期8月までの倒産件数は10446件にものぼり、負債総額は8兆1千3百51億円となっています。まさに平成恐慌が起きるのではないかという不安が広がっています。

 大きな会社に商品を納入し、その資金の流れを頼りに商売をしている会社があるとします。ところがこうした会社とて安心は禁物です。中堅といわれた多田建設や東海興業が倒産したのはメーンバンクの融資打ち切りが原因といわれています。小売業でも最近倒産したヤオハンなどの場合は社会に大きな影響を与えました。

 大きな会社が倒産すると、竜巻に呑み込まれるように、中小の納入業者は持ちこたえることができません。その会社が例えば会社更生法を申請すると、中小の債権はどのようになるでしょうか。結論からいえば、貸したお金は棚上げにされるというのが現実です。 すべての債権者は債権を放棄あるいはそれに近い状態にされ、会社の再起をまず図ります。そうやって再建に努力して無事再建できれば、債権者にも債務の弁済を少しずつ行いましょう。だから債権者はそれまで泣き寝入りしてください、ということです。こうしたことが法律で決定されるわけです。

 債権に対して抵当権、質権、譲渡担保などをとっておくと、たとえ相手が会社更生法を申請しても、抵当権の実行(抵当物件を換金、あるいは物の譲渡を受けて、弁済してもらう)を行うことができます。つまり他の債権者に優先して弁済してもらえるのです。こうして債権は相手が倒産しても保証されているわけです。

 しかしバブル期には、こうして抵当権をつけた債権も実は担保にする評価が甘く、また債務者側のさまざまな妨害工作などがあって十分な回収が困難であるという現実もあります。金融機関はがむしゃらな融資を行って利益を上げ、バブルが崩壊して土地の担保評価が激減した時点で、今度は不良債権が増大したからという理由で、国に救済を求めています。これはまったくの筋違いでしょう。現在の超低金利政策は銀行にとっては救いの神ですが、一般の預金者の利息をかすめ取って銀行を救っているという構図になっていることに庶民も気づき始めていますから、いつまでもこうした状態は続かないはずです。 話が少しずれましたが、実際に日常的な取引をしている中小の会社同士では、個々の債権に対していちいち抵当権を設定したりしませんから、泣き寝入りすることが多いのが現実です。逆に金融機関は貸し渋りを強化して「確実な担保がないとお金は貸さない」という態度ですから回収する度合いは高いのです。

 いずれにせよ、取引会社間の売掛金などによって生じた債権は、当然請求できるはずの債権であるにも関わらず、相手が法律的に「破産」「会社更生法」など裁判所に申請して倒産すれば、全額の回収は難しくなります。

 

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1.貸したお金が回収できない 6.息子名義の土地の担保は要注意
2.誰と取引をするのかが大切 7.担保の種類(一)
3.債権は回収できないことも 8.担保の種類(二)
4.相手の会社が倒産したら債権はどうなるか 9.担保の取り方も物によって異なる
5.債権を確かなものにするには担保が必要