東神田経営事務所 Presents [ 緊急資金繰り対策と不良債権回収 ]
7.担保の種類(一)
質権、抵当権、留置権、先取特権
Aさんが銀行から3000万円のお金を借りようとして、 銀行は、Aさんが差し出した土地を手に入れることが目的ではありません。融資した債権を強めることが目的で、最悪Aさんが借金(債務)の返済が出来なくなったとき、抵当権を設定した土地を処分して、「他の債権者に優先して弁済を受けることができる」ということが保証されるわけです。 物的担保は、「特定の物(財産)を差し出して債権を担保しよう」とするもので、この物による担保にもいろいろの種類があります。その代表的なものを列挙してみると次のようになります。なおこれらは、民法上典型的な担保物であるという意味で、「典型担保」と言うこともあります。 一 質権とは何か 質権の特徴は債権(お金を貸した人)の手元に物を置いて占有するため、ほかの債権者にAさんが優先権があることを知らしめる必要がありません。逆に言うと債権者に引き渡すことの出来ない物は質権には不向きだ、ということも出来ます。ですから現実には土地や建物の担保には、不向きであるということが出来ます。登記や登録が出来る物は抵当権が便利だし、登記や登録が出来ない物で、なお債権者に物を引き渡すことが可能な物は質権設定が便利だといえます。一方この二つの方法ではなお不便だという場合も現実にはあります。そういう場合は後述するような譲渡担保という方法が多くとられます。 二 抵当権とは何か 三 留置権とは何か 例えばAさんが時計をB時計店に修理に出したとします。この時、B時計店は修理代金が支払われるまで時計を留置(Aさんに渡しません)することができます。修理代という債権が弁済されたとき初めて時計をAさんに戻すという関係です。この留置権は法定担保物権といい、債権者・債務者が契約を交わして留置権が生ずるというものではありません。ただし、Aさんの了解もなく時計を持ち出して修理して、代金を支払わなければ留置するということは出来ません。 四 先取特権とは何か なぜこうした先取特権があるのかというと、Aさんの会社が倒産の危機に直面しているなどという事態になったとき、米屋が不安を感じてAさんにお米を売るのも躊躇するということになれば、生きることさえ難しくなります。人として最低限度は社会的にも守られなくてはなりません。こうした意味合いを含めて先取特権というのは認められているのです。 こうした先取特権が主張できる債権は、
などであり、法定担保物権として債権者・債務者間の契約がなくても成立しています。なお国税、地方税もこの先取特権の中に含まれます。 |