東神田経営事務所 Presents [ 緊急資金繰り対策と不良債権回収 ]
8.担保の種類(二)
現実の取引から生じた担保
質権、抵当権、留置権、先取特権の四つの担保は、前に述べたように典型担保といいます。これに対して、実際の取引上の利便性から生み出されてきた担保を、非典型担保といいます。非典型担保というのは無味乾燥な法律用語の範囲を出ない未熟な日本語であまり使う必要もないでしょう。しかしその内容は十分に理解しておく必要があります。 一 譲渡担保 二 買戻し・再売買予約 この場合、実質的には土地を担保にお金を借りたと同じ機能を果たしていることになるわけです。買戻しは登記することにより、買戻権を第三者に対抗(知らしめる)することが出来ますが、その登記は売買契約と同時でなくてはなりません。また買戻しの可能な期限は10年と限られています。 ただし、「買った代金と契約の費用を支払うことで買戻す」というのは買主にあまりメリットがないので最近ではあまり行われていません。 再売買の予約も買戻しの特約に似ていますが、将来売った不動産を買戻すという予約をし、その権利を確保するために、売主は所有権移転請求の仮登記をしておくことになります。再売買予約は買戻しに比べて二度目の売買の価格を自由に決めることが出来るので、より多く利用されます。 三 所有権留保 四 代物弁済の予約、仮登記担保 「代物弁済の予約」は債務の返済がない場合、担保に提供された特定の土地を、債務に変わる物として債権者のものにする(帰属させる)という内容の予約です。ですから、債権者と債務者が契約時に了解しあって「抵当権」と「代物弁済の予約」を結んでおけば、債務の返済がない場合、担保に提供された土地を抵当権に従って処分するか、あるいは代物弁済の予約によって自分の物にするか、の二つの選択肢を手に入れることが出来ます。今日のように土地の値段が下がっているときは、土地を競売にかけても債権の全額に満たないなどという場合もあります。それならば代物弁済の予約に従い、土地を手に入れてその利用法を考えた方が得策だといえます。 以上のように、現実の取引から生じた担保には四つの方法があります。中でも譲渡担保などはよく利用される物ですから十分に理解しておく必要があるでしょう。いずれにせよ、担保に「物」を取るといっても色々な担保の取り方があります。どの方法を採用すれば一番いいのかは「物」によってもことなりますので、担保の内容をよく考えて、最も相応しい方法を講じることが確実な債権回収には必要だということができます。 |